介護技術には、「安全に介護する技術」と「自立を促す、できないところだけ介護する技術」があります。リハビリテーションでは、自立を促すため、できるだけ少ない介助で練習しています。リハビリテーションによる介護技術を解説します。
リハビリテーションによる介護技術=自立を促す介護技術
リハビリテーションとはRe(再び)habilis(適し た・ふさわしい) ation(すること)。
リハビリテーションの目的は、再び以前のような生活動作ができるようにすることです。
患者様の生活動作自立度が増えることは、介護者にとっても介助量が軽減するので良いことです。
5つのポイント
自立を促す介護技術は5つのポイントがあります。
安全への配慮
転倒させない、ケガさせないように安全に介助するためには、「ポジション」と「無理しない」ということが大切です。
ポジション
・付き添うときは、患者さんの弱い方(麻痺側、骨折側)にポジションをとります。
・寝返り・起き上がりで介助するときは、患者さんが動く方向にポジションをとりましょう。
※介助者から患者さんが離れていくような介助は転倒の危険があります。
できないところだけ介助する
できないところだけ介助する。
現場ではよく聞くフレーズですが、実は簡単のようで難しいことです。
次の点を意識して介助してください。
- 患者さんを知る
- できないところだけ手伝う
- 介助するタイミング
患者さんを知る
初めての人を介助するときは、次のことを知ることが大切です。
・どこが悪い?
・リスクは何?
・どこまでできて、どこができないか?
できないところだけ手伝う
できない動作の中でもできる部分とできない部分があります。
左手で手すりを握ること | ○ |
お尻を前に移動すること | ○ |
少しお尻を持ち上げること | ❌ |
お尻が少し上がれば、そこから立ち上がれる | ○ |
つまり、手伝うのは、お尻を少し持ち上げる介助だけです。
介助するタイミング
患者さんが自力で動いているときは「できる動き」です。
できなくなると動きが止まります。
つまり、一連の動作の中で、患者さんが動いているときは介護者は触れているだけ、動きが止まったときが、介助するタイミングです。
ここから、ちょっと難しい!、、
介助する力は、初めは少しで、それでも動けないときは、徐々に力を加えていき動き出したら、それが最適な介助量です。
つまり、最適な介助量とは介助に必要な最小限のパワーのことです。
相手の動きに合わせる
介助する人とされる人では、動くタイミングが違います。
できるだけ自分の力で動いてもらうためには、相手の動きに介助者が合わせる必要があります。
患者さんが何をするか理解すること
まず、これから何をするのか理解してもらうことが大切で、何をされるか?と怖がっていたり抵抗していた状態で介護しても自立を促すことができません。
また、見ているのはこちらだけでなく、相手もこちらを見ています。
怖い顔、嫌な顔、不安な顔していると患者さんは安心して能力を発揮できません。
優しく声かけするのと、笑顔でリラックスした雰囲気づくりが大切です。
患者さんが動き出すまで待つこと
高齢者は呼びかけてから動き出すまで時間がかかります。
反応(動き)が出るまで待つことが大切です。
「起きましょう、はい」のように呼びかけと同時に介助するのは能力を出せないのでダメな介助です。
介助動作の全体をイメージしてから行う
1人で介助することが多いので、介助しながらできること、手の届く範囲には限度があります。
良い介助は段取り8割と言うぐらい、予め介助動作の全体をイメージして準備していることが大切です。
患者さんの軌道をイメージすること
例えば)
立ち上がるときは、前に体をかがめて(お尻にある体重を足に移す)立ち上がりますが、介護者が患者さんの前で壁を作っていると体重移動ができないので立ち上がれません。
介助動作の全体をイメージすること
例えば)
せっかく介助して座っても、歩行器が遠く手が届かなければ歩くことはできません。
→座ったときのイメージ、歩行器との距離間を考えることが大切です。
福祉用具を上手に利用する
できることを増やす、自立を促すことは、福祉用具を利用することで解決することもあります。
福祉用具の業者さんに相談して、いろいろ試して能力に合ったものを選ぶと良いと思います。能力に合った福祉用具とは、次のような点を重視してください
・使って、動きやすいこと
・使って、安全であること