大腿骨頸部骨折の95%が転倒で発生し、女性の高齢者に多いです。高齢者が下肢を骨折すると骨折する前と比べ移動動作能力が一段階低下するといわれています。リハビリテーションのポイントはケガする前の移動能力まで回復させることができるか?また、転倒した原因を理解して、その対策を考えることです。
入院期間
- 術後の回復状態によりますが、だいたい術後4週間ぐらいです。
普通に歩けるまでの期間
- ケガする前の歩行能力にもよりますが、術後4週間〜6週間ぐらいでケガする前の状態まで回復する人が多いです。
リハビリテーション
術後翌日
- 痛みを憎悪させないようにしながら車椅子移乗練習を行います。
- 特に荷重制限はありません、痛みに応じて体重をかけて行きます。
- 患部以外は積極的に運動します。
- 車椅子座位、端座位で膝・足関節の屈伸運動を行います。
- 平行棒内起立練習を行います、余裕がある人は両手支持しながら平行棒内歩行を行います。
術後4日
- 術後の痛みは4日経つと軽減する人が多いです。
- 術後の痛みが軽減したら積極的に平行棒内歩行練習を行います。
術後7日
- 平行棒内歩行が連続5往復ぐらい歩けるようになれば歩行器歩行練習を行います。
- マット上でセラピストがサポートしながら股関節の運動を行います。
- 手すりなど触りながら、スクワット運動・踵上げ運動を行います。
術後2週間
- 歩行器歩行が実用的になれば病棟でも歩行器歩行自立とし、歩行練習をしていただきます。
- 平行棒内で横歩き、後ろ歩き、横歩きの運動を行います。
- 病棟で歩行器歩行できるようになれば、リハビリテーションでは杖歩行→杖なし歩行と進めます。
- 病棟の生活動作が自立するようにセラピストが指導します。
術後3〜4週間
- 病棟での生活動作が自立したら退院に向けた指導を行います。
- 退院に向けた指導とは、床からの立ち上がり、階段昇降、屋外歩行・坂道、靴・靴下の着脱です。
- 和式トイレを使用していた人には洋式に変えるように検討します。
- なんで転倒したのか原因を理解して、転倒しないような対策を行います。
- 平行棒内で片脚立ちバランス練習を行います。
- 方向転換時にバランスを崩すことが多いので、立ち座りや方向転換の練習を行います。
術後4〜6週間
- 経過が順調で自宅で生活できる状態になれば退院することができます。
- 元の生活動作に戻すことより、転倒しないように考えることが大切です。
- 転倒して両足の骨折になると歩くことが困難になります。
- 転倒しないことを第一に考え、歩行補助具を積極的に活用します。
- 入院中の調子が悪い時に合わせた自宅の環境づくりが大切です。