理学療法の評価実習で行う検査・測定に「関節可動域検査(Range of motion test)現場では略してROM」があります。臨床実習の前までには身につけるROMのポイント5つを解説します。
ROM検査の目的を理解している
まずは、ROM検査の目的を理解していることです。
※実習前の段階で、検査結果を治療や問題点に関連付けて考えるのは難しいと思いますが、評価実習だからROM検査したはダメです。検査結果をどのように考えるか、思考の準備をしておくと良いです。
目的は
1.関節の可動域を測定することで、異常を発見する。
・関節可動域の制限
・関節の変形
2.関節の角度を数値化にすることで、治療効果の判定ができる。
測定方法の違いと選択を理解している
ROMの測定方法2つあります。
・他動で測定する場合
・自動で測定する場合
それぞれ測定方法が違うので、意義も違います。
一般的には、ROMを測定するときは他動で測定します。
他動で測定するときは
自動で測定するときは
他動と自動とも測定するときは
・関節の可動範囲と、患者様がどれだけ関節を動かすことができるかの両方を測定したいときは、他動と自動ROMの両方を選択
・一般的には、ROMと筋力を組み合わせて診るのでROMとしては他動を選択
出典:肢体不自由障害の診断書の様式
評価に求められる3要素を理解している
評価に求められる3要素とは
妥当性
用いる検査が測定対象を調べるのに妥当な検査かどうか?
→関節可動域を測定するためにROM検査は妥当性があります。
信頼性・再現性
文献や参考書によって信頼性といったり、再現性と言い方が違いますが同じことを意味します。
同じ患者様に同じときに検査を何回行っても結果が同じかどうか?
同じ患者様に同じときに検査を行い、結果が変わるのであれば信頼性はありません。
→実習前に実技演習で、同じ人に検査したときに同じ結果がでるように技術を身に付けましょう。
標準性
全国的標準となる検査であるかどうか?
その病院でしか行っていない検査は他院の人は理解できません。あるいは、その人のオリジナルの検査をやっても他人は理解できません。
→養成校で教わる検査方法は、全国標準の検査ですから標準性は問題ないです。
関節と動きと可動域(参考値)を覚えている
リハビリテーションの養成校で関節の運動方向や可動範囲の参考値は既に覚えていると思います。
まだ覚えていない人は、実習前に覚えてください。
なぜ?
それは、ROM測定は考えながら実施することが大切だからです。
プロの理学療法士になると、評価と治療は同日に行います。
検査した後にスタッフルームや自宅で考えるでは遅く、治療を受けに来ている患者様は満足しません。
つまり、検査をしながら問題点を抽出して治療の対象になるかどうか考えているのです。
そのためにも、関節の運動方向や参考値は頭に入れておく必要があります。
不快をなく検査を行える
臨床実習で検査するのは患者様です。
当たり前のことですが、患者様はどこか具合が悪い、痛みがあります。
測定するときに不快を与えると拒否されたり、怒られたり、緊張させたりで正確に検査できません。
不快なく検査ができるように、次のことを意識してください。
大きい関節から小さい関節へ
手指など小さい関節は痛みがでやすく、筋も緊張していることが多いです。
大きい関節から行うことで、過度に痛みや緊張をおこすことを予防できます。
痛みのある関節は後回し、気遣いの声かけを
患者様の立場で考えると、いきなり痛い関節を刺激されると不快な気持ちになります。
それでなくても、職員でなく資格もない人に触らせることに抵抗を感じている患者様は少なくないです。
楽に動かせることのできる関節から行い、痛みのある関節は慎重に測定しましょう。
リラックスさせてゆっくり動かす
関節を早く動かすと緊張して痛みがおこりやすくなります。
ゆっくり動かして動かなくなったら、そこまでが可動範囲なので、それ以上は無理に動かすのを止めましょう。
動かしているときは、片手は関節を包むように触ります、触ることで関節の状態を手で感じることができ、患者様もリラックスできます。